BitShares 2.0以降、Market-Pegged Assets(BitAssets)は大幅に強化されました。
以前の仕様ではBitUSDを売買したくてもBItUSD/USDのレートが$1を切っていることが多かったため、BitUSDをUSDに換金する時点でface value(額面価格)が目減りしてしまい、BitUSDを受け取る側にとって不利になってしまっていたので、BitUSDのアドプションが思うようにいきませんでした。
そのため、BitSharesはある作戦に出ることにしました。
作戦1: 優先順位を変えた
BitSharesがまず何を行ったかというと、BTSホルダーではなく、BitUSDホルダーを優先させることにしました。具体的に言うと、BitUSD/USDのレートの下限を$1にすること、それとRequest forced settlementというルールを設けることにしたのです。
Request forced settlementとは「BitUSDホルダーが好きなタイミングで保有しているBitUSDを$1分のBTSに換金することができる」というルールです。
このルールが出来上がったことによって、BitUSD/USDのレートが$1を切らないようになりました。仮に市場のレートが$1を切っていた場合、市場で取引するよりrequest settlementする方がお得になるということです。つまりこのルールが存在することで、市場の下限も自動的に$1になる力が働くということです。
下限を設けることで「1 BitUSDに変えても、いつでも1 USDに戻すことができるという安心感」をユーザーに与えることができ、アドプションを促進できるのではないかと考えたわけです。
作戦2: マーチャントとお客様を巻き込むことでリアルの世界でのユーザーを増やしていく
次に、BitSharesはリアルの世界でBitUSDを使うユーザーを増やそうということで、マーチャントとそのお客様に狙いを定めることにしました。
マーチャントの立場
マーチャントの立場になって考えてみると、商品をBitUSD建てで売っても、BitUSDを最小のリスクでUSDに換金して銀行から現金を引き出せるようにしたいと思っているわけです。
それを可能にするのがBitUSDの下限です。1BITUSDは必ず1 USDに換金できると分かっているのならマーチャントも安心してBitUSD建てでビジネスを行うことができるようになります。
BitUSDのレートが$1より大きくプレミアムが付いているときはその分を利益にすることもできますし、その分を割引してあげることも可能です。
また、スマートなマーチャントならUSD建てに換金せずにビジネスをやっていくかもしれません。
いずれにしても、マーチャントからしてみればBitUSDに下限があることはメリットにしかなりません。
お客様の立場
お客さま側からすると、BitUSD建ての支払いはプレミアムの分勿体無いと思うかもしれません。
したがって、先ほど申し上げたように、BitUSD建てを受け付けてくれるマーチャントの中でも、プレミアム分を割引してくれるマーチャントから買おうとする力が働くかもしれません。それはフリーマーケットの原理が自動的に証明してくれます。
いずれにしても、仮想通貨建ての支払いを受け付けてくれるマーチャントが先に増えれば、仮想通貨建てで支払いをする人も現れることでしょう。
特に海外のウェブサイトから買い物したいユーザーにとっては、手数料を安く済ませたり、土日祝日に関係なく一瞬で支払いを済ませたりすることが可能になるので、世界がより近くなることが実感できることでしょう。
また、このエコシステムは広がれば広がるほど、従来の銀行システムに頼る割合が減り、USDに換金する意味が減ってきて、BitUSDそのものの価値が認識されるようになるため、次第にBitUSD/USD間のプレミアムは意味をなさなくなっていきます。
まとめ
BitSharesはペッグを強化したので、今後BitUSDを採用するマーチャントが増え、Fiatを使う人が減ってくるとより楽しい世の中になりますね。
考えるだけでニヤニヤしてきます。