今回は、レコーディングしたボーカルをトラックに重ね、ミックスするときに必須なプラグインを紹介します。
無料でミックスするのは無理だと知れ
まず最初にマインドセットの話をしますが、無料でミックスしていくのは無理だと思ってください。
無料のプラグインは効きが悪かったり、音が良くなかったり、波形がおかしくなったり、いろんな問題が起き得るので、ダメなんです。
プロの料理人でも、300円の包丁を使って素材を切ろうとすると、ちゃんと切れなくて素材の断面がガタガタになってしまうのと同じです。
ですから、例え有料でも「ちゃんと仕事をしてくれる」プラグインを使いましょう。
この部分をケチると、本来出せるはずの音質を出せず、リスナーにインパクトを与えることができなくなり、結果的に本来出せるはずのポテンシャルを自分自身で抑えつけてしまうことになるので、決して甘く見てはいけません。
ここでお金を出せるか出せないか、これが運命の分かれ道になると言えるでしょう。
イコライザー
特定の周波数をブーストしたりカットするのがイコライザーです。
癖のあるものからないものまで、イコライザーの種類は幅広いですが、基本的には癖があまりないものを選ぶと間違いないです。
私がいつも愛用しているイコライザーはWavesのQ10 Equalizerです。Q10 Equalizerをインストールすると、1, 2, 3, 4, 6, 8, 10のバンドから選べます。
10バンド全部使うのはちょっとやりすぎなので、基本的には4バンドのQ4イコライザーを挿入して、イコライジングしていくのが良いでしょう。
ステレオイメージャー
ステレオイメージャーは音を外に広げるプラグインで、ボーカルをミックスしていくなら必要です。
特にボーカルのコーラス部分をメインボーカルの成分とぶつからないようにするために多用します。パン(Pan)を使ってコーラス部分を手動で広げながら配置していくこともできますが、作業が大変になるので、ちゃんとしたステレオイメージャーを一つ持っておいて、ステレオイメージャーを使って音を外に広げると良いです。
コーラスを綺麗に外に配置できれば奥行き感が出るようになり、プロっぽさが出るようになるので、ステレオイメージャーは持っておきましょう。
おすすめはWavesのS1 Stereo Imagerです。ステレオイメージャーはこれ一つで十分で、他にはもう何も要らないです。
リバーブ
リバーブは音の反響を表現するプラグインです。
リバーブは良いやつを一つ持っておきましょう。お風呂だと歌が上手く感じられるように、うまくリバーブを使いこなせば、歌の響きが何倍も良く聞かせられるからです。
基本的にWavesのTrueVerbがあれば良いです。やや重いですが、全ての仕事をちゃんとこなしてくれます。
でもお金を「もっと」出せるなら、WavesのH-Reverbがおすすめです。H-Reverbは価格も音質もTrueVerbよりワンランク上です。
「上」を「特上」にしたいなら、H-Reverbにすると良いでしょう。
ディレイ
ディレイは簡単に言うとエコーです。ディレイは重いプラグインが多いので、選ぶのがいろいろと難しいです。
音質、癖、重さを考慮したときに、バランスが良いのはWavesのSuperTapです。
トラックにかけ続けるとメモリを消費するので、特定のフレーズの語尾にだけプラグインを「オン」にするような形にすると、フレーズに味が出て、同時にメモリもセーブできます。
コンプレッサー
コンプレッサーは波形を潰して、音のうるさい部分と静かな部分の差を縮めるプラグインです。
コンプレッサーは癖があるものとないものでは音質の差が顕著に出ます。
ですから、イコライザーと同じく、あんまり癖がなく、綺麗に仕事をしてくれるプラグインを手に入れると間違いありません。
おすすめはWavesのC1 Compressorで、これを一つ持っておけば良いでしょう。これは縁の下の力持ち的なプラグインと言えます。
分かりやすく言うと、いてもあまり存在は目立たないけど、いなくなったらすぐに分かるみたいな感じですね。それだけちゃんと仕事をしてくれるプラグインということです。
ディエッサー
ディエッサーはボーカルのキンキンした周波数を削るプラグインです。先ほど紹介したQ10イコライザーで削っても良いですが、ボーカル専用のプラグインなので、あると非常に仕事がはかどります。
ディエッサーは選ぶのは簡単で、Waves DeEsserの一択と言えます。これさえあれば、他には何も要らないでしょう。
マキシマイザー
ミックスの音圧をあげたいならマキシマイザーは必須です。
マキシマイザーはマスタートラックにかけることで、全体の音圧をグインと上げることができます。
音圧は上げすぎ注意ですが、音圧は低すぎると音楽が目立ちにくくなるので、ある程度はかけた方が良いでしょう。
おすすめはWavesのL2 Ultramaximizerです。L1やL3など、似た名前のマキシマイザーがありますが、基本的にはL2の一つで十分です。
L2は音質をなるべく変えずに音圧を上げられるので、透明感のあるマキシマイザーと言えます。マキシマイザーを選ぶときはとにかく透明感を重視することが大切です。
理由はせっかくミックスを頑張ったとしても、癖のあるマキシマイザーをかけたらその瞬間にミックスのバランスが崩れてしまい、マキシマイザーの癖に合わすようにミックスを再度やり直す必要が出てくることがあるからです。
このように、マキシマイザーの癖に合わせるようにミックスをやり直すようになると「堂々巡り」することになり得ます。私はこの罠に一度ハマったときに、しばらくミックスが「嫌い」になってしまいました。だからこそあなたにはこの罠にはハマらないようにして欲しいです。
だからこそ、何度でも言います。マキシマイザーは癖がなく、透明感のあるものを選ぶことが非常に大切です。
L2ほど透明感のあるマキシマイザーでうまく音圧を上げられないのなら、ミックス自体に失敗しているということなので、その場合はマキシマイザーのせいにはせず、ミックスのスキルを上げることに力を入れましょう。
ミックスが上手くなれば、L2は真の力を発揮してくれるようになり、ものすごくキレイに音圧を上げられるようになります。
まとめ
以上、紹介した全てのプラグインがWaves社のものですが、それだけクオリティが高いので、ちゃんとしたミックスを整えたいのなら、ちゃんとしたツールにお金を投資しましょう。