多くのビートメイカーは自分が作り出す作品の価値を分かっていません。言葉が含まれていない状態のビートは人間の細胞で言えば「幹細胞」なのです。
幹細胞は将来どんな細胞にだってなれます。赤血球、白血球、内蔵、肌、何にでもなりたい細胞になれるのです。だから無限の可能性があります。
ビートも同じです。それを使うアーティストによって、どんな作品にだってなり得るわけです。だから無限の可能性があります。
インストゥルメンタルとしてリリースすることもできますし、素晴らしい才能を持つアーティストに提供することもできます。あなた次第でどんな未来でも作り出すことができるのです。
じゃ、ビートメイキングをした後はどのようにやっていけばマーケティング的に良いのでしょうか?その秘密はどのトラック提供方法が一番効率的であるか、またどの方法が一番少ない力で歯車を回していけるかを考えて、そこから逆算して考えてみると良いでしょう。
どの形態が一番儲かるかを考えてみよう
方法1: インストゥルメンタルとしてiTunes Storeで売る
あなたがトラックをインストゥルメンタルとしてiTunes Storeなどでリリースしたら、あなたのお客様は一般リスナーになります。
一般リスナーはあなたのトラックに¥200出すかも知れませんが、何万円も出すことはありません。
ですから、たくさん売らないとあなたの元にはお金が入りません。たくさん売れたらラジオなどで取り上げられて、印税が入ってくるようになるかも知れませんが、まずはたくさん売るというハードルを乗り越えられなければ話になりません。
したがって、ビートメイカーがトラックをインストゥルメンタルとして一般リスナーに販売する方法はあまり効率は良くありませんね。
方法2: 特定のアーティストと長期的に組む
では、特定のアーティストと長期的に組んで作品を作リ続けるとすればどうなるか。
これもあまり効率が良くありません。
そのアーティストが本気で売れる努力をしていたとしても、売れる保証はありません。また、売れたとしても、アーティストと利益を折半することになります。
さらに、活動しながら「お金」や「音楽性」について揉めたら最後、そのアーティストとはやっていけなくなることだってあります。
ですから、ビートメイカーとしてのキャリアを一人のアーティストに託してしまうのは良いアイデアとは言えないのです。
組むアーティストを間違えた場合に、あなたのキャリアは花が咲きませんし、何よりあなたのビートを必要としている別のアーティストに提供するというチョイスを排除することになり、機会損失が発生してしまうのです。
方法3: 多数のアーティストに同時にビート提供する
では、最初から複数アーティストをターゲットにして、ビートを複数のアーティストに提供するとどうなるか。
この方法だと一つのトラックを複数のアーティストに使ってもらうことができます。
ビートを提供したアーティスト全員の花が咲くわけではないけれど、数打つことによって「当たるアーティスト」が出てくる可能性が高まります。
当たったアーティストが出てきたら、そのアーティストとすかさずロイヤリティーベースの契約を交わせば良いのです。すると、そのアーティストが売れれば売れるほどあなたにもロイヤリティーフィーが入るようになります。もう売れると分かっているアーティストとロイヤリティーベースの契約を交わすことほど気持ちが良いものはないでしょう。
作り出すビートの数は同じでも、方法1や方法2と比べたら効率があまりにも違います。
一つのビートを一回だけ使って成功することを祈るか、トラックを何度も使い回すかによって成功する確率を高めるか、この違いは明確です。
また、あなたのビートを使って成功体験を一度でも経験したアーティストは何度でもあなたの元に戻ってきます。するとリピーターがつき、継続的に利益を出すことができるようになり、あなたにとってサステイナブル(持続可能)なビジネスになるのです。
まとめ
一般のリスナーをターゲットにするか、一人のアーティストにあなたのキャリアの全てをかけるか、複数のアーティストに提供しながらあなたにとってマッチするアーティストをじっくりと探すか、全てはあなた次第です。
しかし、複数のアーティストに提供していく方法がスモールビジネスとしては最も効率が良く、少ない力で歯車を回していくことができ、利益を継続的に得られる仕組みを最短で作り出すことができると言えるでしょう。