ビットコインのHDウォレットが生成したビットコインアドレスにビットコインを送付すれば、送付したビットコインの数量がウォレットの残高に反映されます。
しかし、次に同じウォレットにビットコインを送信しようと思ったときに、受け取り用のビットコインアドレスが別の受け取りアドレスに変わってしまっている場合があります。
では、なぜウォレットによっては受け取り用アドレスが毎回変わってしまうのでしょうか。
受け取り用アドレスが変わる理由はプライバシーを守るため
これはなぜ起きるかというと、プライバシーを守るためにウォレット作者が便利機能として付けたからです。
そもそもビットコインを使ったトランザクションではプライバシーを守るために受け取りアドレスは毎回変えた方が良いのです。
確かにクライアント型ウォレットを使っていると、受け取り用のビットコインアドレスが毎回変わってしまうと受け取ったビットコイン自体が消滅してしまったのではないかと心配してしまうことは分かります。
でもそんなことはなく、ウォレットはいままで発行した全てのビットコインアドレスを覚えていて、画面上には受け取ったビットコインの累計が表示されているだけなので、ビットコインがなくなったわけではないのです。
アドレスAで1BTC、アドレスBで3BTC、アドレスCで6BTC受け取った場合、ウォレットには10BTCの残高が表示されますが、この残高はあくまでもアドレスAとBとCの合計が表示されているだけなのです。
このウォレットから他人に8BTC送るときは、裏ではアドレスAから1BTC、アドレスBから3BTC、アドレスCから4BTCを送るといったことが行なわれているのです。
場合によってはアドレスCから6BTC、アドレスBから2BTC送られているかも知れませんし、一旦10BTCを別ビットコインアドレスに統合してから、8BTC分だけが相手に送られているかも知れませんが、それはウォレットにお任せすれば良く、ユーザーとしては考える必要はありません。
まとめ
今回のポイントとしては、受け取り用アドレスが毎回変わるのはウォレットの挙動として問題ないということです。
むしろ、受け取り用アドレスが変わるのは良いことだと考えなくてはなりません。
なぜなら、お給料を受け取るためのビットコインアドレスとネットオークションでお代を受け取るためのビットコインアドレスを同じものにしたら、複数の人との間でビットコインアドレスを共有することになり、プライバシーが筒抜けになってしまうからです。
ブロックチェーンを見れば誰からいくらもらったということがばっちり書いてあるので、取引相手毎に、そしてトランザクション毎にビットコインアドレスを変えないと、他人にあなたのビットコイン残高が簡単に知られてしまうリスクがあるのです。つまり、プライバシーを守るためにビットコインアドレスを毎回変わるように設定してあるのです。
補足
多くの取引所はアカウント開設時に本人確認を行いますが、本人確認を通してたった一つのビットコインアドレスを本人と紐付けてしまえば、その後何回取引を繰り返そうがブロックチェーンを辿っていくことが可能になります。
すると、川の上流にさかのぼっていったり、下流を追っていったりすれば、最終的には全取引が筒抜けになるのです。
川が一旦分岐しても再度統合するようだったら、同じユーザーのトランザクションだということが分かってしまいます。
ですから、時間はかかりますが、取引所はやろうと思えば狙った人の全トランザクションを一個一個洗い出すことができるのです。
ですから、取引所を出し抜くのはハッカー的才能がないと一般人には無理だと思います。
しかし、取引所相手ではなく、一般の取引相手と取引するときに同じ受け取りアドレスを何回も使い回していたら、それはわざわざ自分からプライバシーをリークしにいっていることに他ならないということだけは覚えておきましょう。